国家資格としての普通自動車運転免許の歴史とは

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高取得率の運転免許

日本人が持っている免許のなかでも、いちばん多く取得されているのが普通免許です。20代以上の男性は90%、女性は80%が持っていると言われています。

最近では、2017年に法改正があり普通免許で運転できる車両の範囲が少し狭まりました。3,500kg以上の車両総重量の車を運転したい場合は、準中型免許の取得が必要です。とはいえ、日常生活を送る上で、買物や送り迎え、ドライブなどに車を利用するなら、普通免許で充分でしょう。

初の免許は1907

日本で運転免許証が初めて交付されたのは1907年。それ以前に、普通乗用車ではなく、乗合自動車の運転手に交付されたものはありました。自家用車の運転を対象としたのは1907年となります。とはいえ、自家用車の運転が必要だったのは車掌や運転手といった職業の人。交付の対象も、職業による条件付きだったといいます。

当時の免許証は木製でした。もちろん、今のように顔写真もありません。住所や名前、生年月日が記されていたといいます。免許の持ち主のことを多少知っていれば、成りすますことも簡単にできたのかもしれません。

ちなみに、日本で初めて運転免許を取得したのは「渡辺守貞」という男性で、取得第一号でもあり免許取り消しも第一号でした。

近代に近づいた1968年

初めての免許交付から約10年ほど経過すると、自動車取得取締令が制定され、免許制度が全国的に統一。当時の運転免許取得は18歳以上で、有効期限が設けられていました。更新制度ではなく、期限が切れる度に取得しなおす必要があったのです。

その後、自動車取得取締令は改定を重ね、1933年に普通免許、特殊免許、小型免許と細分化。その後、二輪免許制度が追加され1968年には、現代とほぼ変わらない免許制度になりました。現代と同じように、1つの免許証で複数の車両の運転ができることが提示できる形に。当時の運転免許証は木製から紙製へと変わっていました。

ICチップ導入は2007年

1973年に免許証はカラープリントになりました。そして、2007年にはよりセキュリティーを高めるために、ICチップを内蔵。偽造が困難となりました。また、ICチップ内には個人情報となる本籍地の情報が入っています。暗証番号を知っている本人しかアクセスできないようになっています。暗証番号を忘れてしまった場合は、管轄の試験場か警察署の窓口にて、本人確認の上教えてもらえます。

教習所の多様化

現在は教習所も多様化しています。
教習所は大きく分けると、公認教習所と届出教習所と指定外教習所の3種あります。

公安委員会から指定を受けた公認教習所は、運転免許試験場の本免許試験で、適性試験と学科試験に合格すれば免許を取得できます。しかし公安委員会に届出を出している届出教習所は、適性試験と学科試験の他、仮免の学科試験や技能試験も試験場に出向いて取得しなければいけません。ただし、免許取得時の講習が免除されます。
さらに届出も出していない指定外教習所は、基本的に運転の練習が行えるのみで、あらゆる手続きを試験場に行って行わなければいけません。免許取得時の講習も受ける必要があるため、本免許試験に合格しても、免許が発行されるまでに数日かかります。

合宿免許の普及

泊まり込みで免許を取得する合宿免許も普及しています。合宿免許は連日教習所に通うため、通学と比べて短期間で免許を取得でき、費用も安くなります。
特に都内から少し離れた場所だと混雑しないため、車がなかなか空かずにずっと待っている、ということがありません。

中には温泉やレジャー施設が利用でき、リゾート気分で免許を取得できるように工夫されている教習所もあります。